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国立研究開発法人 産業技術総合研究所 (AIST)

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多機能のインタラクティブタッチスクリーンを活用し、遠隔地間での製造装置管理やWeb会議を効率化

国立研究開発法人産業技術総合研究所 ナノエレクトロニクス研究部門(以下、産総研NERI)は、複数拠点で運用している半導体製造装置ミニマルファブシステムの遠隔地からの操作・管理を実現するため、およびコミュニケーションの円滑化を図るためにNewline Xシリーズを導入。複数の装置の画面を大画面に同時に映し出すことで、リアルタイムの装置情報を複数のスタッフが共有することが可能になるなど、効率的な研究開発環境を具現化している。また、Web会議にも活用することで、臨場感のある効率的な遠隔地間のコミュニケーションを実現し、円滑な業務推進というメリットも生み出している。

国立研究開発法人 産業技術総合研究所 (AIST)
ナノエレクトロニクス研究部門 ミニマルシステムグループ

研究拠点:茨城県つくば市梅園1-1-1 中央第2

概要 :
集積回路に用いられる材料、デバイス、作製プロセス、設計、および解析評価に関するコア技術を創出し、大規模化・多様化するデータ利活用の超低消費電力化を先導している研究部門。成果の産業界や社会への橋渡しを実行して我が国の半導体関連産業の競争力を強化、様々な分野におけるイノベーション創出の基盤である情報通信プラットフォームの高度化と高効率化に貢献しています。
 

課題

  • 半導体製造装置を遠隔地から効率的に管理・操作できる仕組みとそのインターフェースが必要だった
  • ハドルルーム規模のインターネット会議の臨場感を高め、効率化する仕組みが必要だった

ソリューション

  • Newline Xシリーズを導入し、遠隔地からの効率的な製造装置管理インターフェースを実現
  • 遠隔地間での会議にも活用し、臨場感のある効率的なWeb会議を実現

効果

  • 遠隔地の製造装置の状況を複数のスタッフがリアルタイムに共有することで効率的な装置管理が実現
  • 遠隔地間であっても気軽にWeb会議を行うことで業務効率が向上
  • Newline Xシリーズの高いインタラクティブ性能により遠隔地の製造装置の状況をリアルタイムに把握
 

半導体製造装置ミニマルファブシステムを遠隔地から操作・管理するためのディスプレイの導入を検討

産総研は最大級の公的研究機関として日本の産業や社会に役立つ技術の創出とその実用化や、革新的な技術シーズを事業化につなげるための「橋渡し」機能に注力している。さまざまな分野の研究を手掛けているが、ナノエレクトロニクス研究部門が推進するミニマルファブシステムの開発も重要な取り組みの一例として挙げられる。

「従来半導体は大規模な製造施設で大量に生産されることが通例でしたが、近年は多品種少量生産のニーズが高まったことから、産総研NERIでは最小単位で製造するためのミニマルファブシステムの開発を推進しています。ミニマルファブはそれぞれの装置が半導体を製造するための、1つのプロセスを担っており、複数の装置を組み合わせることにより、半導体を製造するために必要な工程のすべてを網羅し、半導体を製造することが可能になります」とナノエレクトロニクス研究部門 主任研究員 来見田 淳也氏はミニマルファブシステムの概要について説明する。

産総研NERIではつくばセンター、臨海副都心センター、九州センターといった複数の拠点でミニマルファブを運用しており、それらを連携させて半導体製造に必要なすべての工程を組み上げている。

「複数拠点の装置を連携させる際、あたかも同一の工場であるかのように製造できることが求められます。それを実現するためには、遠隔地からそれぞれの状況を把握できるネットワークの仕組みが必要で、そこでキーになるのが映像情報になります」(来見田氏)。

また産総研NERIでは遠隔地間でのコミュニケーションを促進するため、インターネット会議システムを活用していた。しかし、それらの仕組みはPCを活用した簡易なもので、1台のPCで1人を映すことが前提になっていることからハドルルーム会議には不向きで、臨場感もなく十分なコミュニケーションを図ることができなかった。

 

オールインワンという機能性をもつ、自由度の高い汎用のWindowsで動作するNewline Xシリーズの採用へ

拠点間の製造状況の把握、遠隔地間でのスムーズな会議の実施を実現するため、産総研NERIではディスプレイの導入を検討。複数の製品を比較検討した結果、Newline Xシリーズの採用を決定した。

「製品を検討するに当たって、オールインワンというコンセプトを重視しました。まずはデバイスを導入し、外付けでカメラやマイク、キーボードを増設するという方法もありますが、ディスプレイに最初からすべて備え付けてあれば、手間が省けます。また自由度が高いことも重要でした。製品によっては専用のOSやソフトウェアが備えられ、それに制約を受けてしまいますが、汎用のWindowsで動作するものであれば、さまざまな使い方が実現すると考えました。そうした要件を満たしていたのがNewline Xシリーズでした。多機能を備えたNewline Xシリーズは、こちらの要件を満たしていながら、コストパフォーマンスがよく、採用を決定しました」(来見田氏)。

Newline Xシリーズは大画面にWindows PC、複数のフルHDカメラ、マイク、タッチパネル、ネットワーク機能をすべて搭載したインタラクティブタッチスクリーンで、直感的な操作により、ビデオ会議、プレゼンテーション、資料共有、マルチタッチのホワイトボード機能を活用することができる。

「Newline Xシリーズはディスプレイであると同時に電子ホワイトボードの機能も備えている点は特に魅力的でした。例えば、会議で資料を映し出した際、画面上でメモを書き入れることができ、さらにその書き込んだ内容を画面キャプチャーとして保存することも可能です」(来見田氏)。

Newline Xシリーズの導入は2018年12月から開始。施設状況に応じてサイズが選ばれ、つくばセンターにはX5が2台、臨海副都心センターにはX7が1台、九州センターにはX6が1台、順次導入された。

 

半導体製造装置の遠隔地からのリアルタイム管理を実現すると同時に効率的なWeb会議を推進

Newline Xシリーズ導入のタイミングで、産総研NERIではミニマルファブシステムのネットワークを整備。そこにNewline Xシリーズをつなげることで、インタラクティブな製造管理機能とWeb会議環境を実現させた。

「最初はWeb会議での活用から始めました。ディスプレイの前で、複数人で話すことで、臨場感のある会議が実現し、コミュニケーション強化につながっています。6人以下の小規模会議(ハドルルーム)のニーズが非常に高まっていますが、Newline Xシリーズのカメラ配置はそうした規模の会議に適しているので、とても使い勝手がいいと思います。これまでもPCを活用して遠隔地間で会議を行っていましたが、相手の居場所の通信クオリティーに引っ張られ効率が悪いことから、実際に会えるタイミングまで待って会議を行うということもあったりしました。が、今では拠点をベースに必要なときに気軽に遠隔地間での会議を行っています」(来見田氏)。

製造装置管理の面でも成果が表れている。

「遠隔地から製造装置を監視・管理するためには、例えば10台の装置すべてを1つの画面に同時に表示する必要があります。PCでつないだとしても同時に表示することは可能かもしれませんが、その画面を複数のスタッフが共有して打ち合わせを行うとなると、一旦紙に出力するなど、形式焼き直しの手間が必要になっていました。Newline Xシリーズであれば、大画面に表示することで、リアルタイム情報に基づいた監視・管理が実現します。さらに画面上で直感的にそれらを操作することができるので、遠隔地であることの障壁を軽減することができるのです」(来見田氏)。

Newline Xシリーズは1年間のオンサイト保証が付いている点もメリットになっている。

「製品にトラブルが発生した場合、保守のために製品を一旦発送しなければならないのかと思っていました。Newline Xシリーズはオンサイトで保守を実施してもらえるので、その点は非常にありがたいと感じています。既に各拠点にそれがあり、その現場に浸透していますから」(来見田氏)。

今後はAIといった技術を取り入れた仕組みに発展させることを視野に入れている。

「産総研ではAIと機械のつながりも研究対象になっています。AIがミニマルファブシステムと協調する未来も近いかもしれません」(来見田氏)。

 

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