UPSソリューションズ株式会社は、UPSをはじめとする電源関連製品のメーカーで、商品の販売だけはなく、豊富な経験とノウハウを活かし、電源機器導入前のコンサルティングから接続・調整作業、導入後の保守までを一括して引き受ける独自のサービスを提供しています。
今回の検証では、UPSソリューションズ社のUPSおよびシャットダウンボックスで、QNAP NASののシャットダウンおよび自動起動を行う検証を実施しました。
本構成では、シャットダウンプロセスを実行するための外部サーバーの設置、VMなどへのスクリプト配置が不要です。
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検証機器
QNAP初のデュアルコントローラーモデルで、Intel Xeon Eシリーズプロセッサーを搭載し、FreeBSDおよびZFSベースのQESオペレーティング・システムで動作するエンタープライズ向け16ベイNASです。
後継モデル : ES1686dc (3U、16ベイ)、ES2486dc (2U、24ベイ、オールフラッシュ対応)
Intel Xeon Dシリーズプロセッサーを搭載したエンタープライズ向け18ベイ(3.5インチ x 12ベイ + SSD用2.5インチ x 6ベイ)シングルコントローラーモデルで、QESまたはLinuxベースのQTSオペレーティング・システムで動作します。
今回の検証では、QESシングルコントローラーモデルとしてこのモデルを使用しました。
Intel CoreシリーズCPU搭載のミッドレンジの12ベイNASで、QTSオペレーティング・システムで動作します。
24ベイ、16ベイ、12ベイ、8ベイ、9ベイ (3.5インチ x 4ベイ + SSD用2.5インチ x 5ベイ)の5種類のラインアップがあります。
シャットダウンボックスは、UPSから停電信号を受けて、物理サーバー、仮想マシン、ストレージなどでシャットダウンスクリプトを実行することができる小型のアプライアンスボックスで、企業のオンプレミス環境の高度な電源管理が可能です。
Triple Role Play (一台三役)で、幅広い用途に対応するUPSです。
電源環境の変化を常に監視し、通常環境ではエコモードとしてインバーターを停止して常時商用運転で動作、入力電圧が規定値の範囲を外れた場合は自動でインバーターを作動させ、給電品質優先モードに切り替えます。
コンパクトな収納性、常時インバーター方式で、長寿命5年バッテリ・10年寿命ファン・電解コンデンサーなど、高信頼の部品を採用した100V入出力小型UPSです。
検証 1 : ES1640dc v2 (QES デュアルコントローラー)
シャットダウン手順
シャットダウンボックスおよびUPS 2モデルの3パターンでシャットダウン検証を実施しました。
作業用端末からにシャットダウンボックス / UPSにログインし、以下のシャットダウン指示を行いました。
順番 | 送信先 | プロトコル | 処理内容 |
---|
1 |
SCA |
SSH |
- SCA (QES)に SSH でログイン
- cf shutdown を実行
- 指示後、300秒固定待機
|
2 |
SCB |
SSH |
※ SCA 停止時を想定し、以下①と同時に実行
- SCB (QES)に SSH でログイン
- cf shutdown を実行
- 指示後、300秒固定待機
|
3 |
SCA SCB |
Ping |
- ping により全ノードの疎通停止を確認
- その後、60秒固定待機
|
構成図
番号および矢印はシャットダウンボックスからの実行例です。
検証結果
3パターンとも、ES1640dc v2のシャットダウンに成功しました。各手順の結果と所要時間は以下の通りです。
処理 | 判定 | 処理時間 (累計) |
---|
SCB ping 疎通停止 |
OK |
約1分10秒 |
SCA ping 疎通停止 |
OK |
約1分50秒 |
LED 消灯 |
OK |
約1分50秒 |
スクリプト完了 |
OK |
約6分28秒 |
※ シャットダウン所要時間は、データ量、プロセス数などにより大きく変動します。
起動手順・検証結果
ES1640dc v2 (QES) のコントロールパネル「電源」-「電力復旧」の画面にて、「NASを自動的にオンにする」に設定します。
- 電源投入 (電源ケーブルを抜き、背面LED消灯後に再度電源ケーブルを接続)
- 両コントローラーが自動起動
起動までの所要期間 - 約6分02秒 (ping疎通まで)、約8分46秒 (Web画面表示まで)
注意 : 電源ケーブルを抜くとBBU (バッテリーバックアップユニット) が動作し、内部のバックアップ処理が完了するまで背面LEDが点灯します。この間に復電すると自動起動しません。
検証 2 : TES-1885U (QES シングルコントローラー)
シャットダウン手順
シャットダウンボックスおよびUPS 2モデルの3パターンでシャットダウン検証を実施しました。
作業用端末からにシャットダウンボックス / UPSにログインし、以下のシャットダウン指示を行いました。
順番 | 送信先 | プロトコル | 処理内容 |
---|
1 |
SCA |
SSH |
- SCA (QES)に SSH でログイン
- cf shutdown を実行
- 指示後、300秒固定待機
|
2 |
SCA |
Ping |
- ping により疎通停止を確認
- その後、60秒固定待機
|
構成図
番号および矢印はシャットダウンボックスからの実行例です。
検証結果
3パターンとも、TES-1885Uのシャットダウンに成功しました。各手順の結果と所要時間は以下の通りです。
処理 | 判定 | 処理時間 (累計) |
---|
ping 疎通停止 |
OK |
約50秒 |
LED 消灯 |
OK |
約50秒 |
スクリプト完了 |
OK |
約6分13秒 |
※ シャットダウン所要時間は、データ量、プロセス数などにより大きく変動します。
起動手順・検証結果
TES-1885U (QES) のコントロールパネル「電源」-「電力復旧」の画面にて、「NASを自動的にオンにする」に設定します。
- 電源投入 (電源ケーブルを抜き、背面LED消灯後に再度電源ケーブルを接続)
- TES-1885Uが自動起動
起動までの所要期間 - 約7分13秒 (ping疎通まで)、約8分15秒 (Web画面表示まで)
検証 3 : TVS-1272XU-RP (QTS)
シャットダウン手順
シャットダウンボックスおよびUPS 2モデルの3パターンでシャットダウン検証を実施しました。
作業用端末からにシャットダウンボックス / UPSにログインし、以下のシャットダウン指示を行いました。
順番 | プロトコル | 処理内容 |
---|
1 |
SSH |
- TVS-1272XU-RP (QTS)に SSH でログイン
- poweroff を実行
- 指示後、300秒固定待機
|
2 |
Ping |
- ping により疎通停止を確認
- その後、60秒固定待機
|
構成図
番号および矢印は SDB からの実行例です。
検証結果
3パターンとも、TVS-1272XU-RPのシャットダウンに成功しました。各手順の結果と所要時間は以下の通りです。
処理 | 判定 | 処理時間 (累計) |
---|
ping 疎通停止 |
OK |
約1分32秒 |
LED 消灯 |
OK |
約2分07秒 |
スクリプト完了 |
OK |
約6分11秒 |
※ poweroffコマンド受付時にブザーが鳴動します。
シャットダウン所要時間は、データ量、プロセス数などにより大きく変動します。
起動手順・検証結果
TVS-1272XU-RP (QTS) のコントロールパネル「電源」-「電力復旧」の画面にて、「NASを自動的にオンにする」に設定します。
- 電源投入 (電源ケーブルを抜き、背面LED消灯後に再度電源ケーブルを接続)
- TVS-1272XU-RPが自動起動
起動までの所要期間 - 約4分41秒 (ping疎通まで)、約8分48秒 (Web画面表示まで)、約9分26秒 (ブザー鳴動まで)
まとめ
QNAP NASの自動シャットダウン、自動起動が可能であることを確認しました。
UPSのバックアップ時間は最低8分を推奨します (停電確認時間 2分 + シャットダウン時間 6分)
(参考) 検証機器バージョン
検証機器 | |
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シャットダウンボックス UPSS-SDB03-V
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Ver.1.10 |
UPS UPSS-10SP007N3
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Ver.5.01.01 |
UPS UPS-19A3-010RM-NB6/5
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QNAP デュアルコントローラーNAS ES1640dc v2
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SCA : QES 2.0.0(ES-DUAL_20190131-2.0.0.0653) SCB : QES 2.1.0(ES-DUAL_20190510-2.1.0.0772) |
QNAP NAS TES-1885U
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QES 2.1.0 (ES-SINGLE_20190711-2.1.0.0969) |
QNAP NAS TVS-1272XU-RP
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QTS 4.4.1.0949 |
2020/2/12 KH