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QNAP最強(?)レプリケーション方式のSnapSync

2021/5/13(QNAP) - 先月に待ちに待ったQNAP NAS専用OSのひとつであるQuTS heroのバージョン4.5.2がリリースされました。 なぜ『待ちに待った』のか? 実は QuTS hero ver 4.5.2には、かなり以前からレプリケーション機能のSnapSync(スナップシンク)が追加されるという話が出ていたからです。 (QNAP NASエンタープライズ向けOSであるQESにはリリース当初から搭載されています)

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話は一旦逸れますが、QNAP NASには現時点で3種類のOSがあります。別記事で紹介されている、QESとQTS、そしてQuTS hero。

QNAP NAS専用OS(QTSとQES)

QESは現在QNAP NAS最上位モデルのES2486dcとES1686dcの2モデルのみで使うことが出来ます。この2モデルの特徴はデュアルコトンローラ構成、NVRAMという書き込みキャッシュ搭載、インラインの重複排除&圧縮が使える等があります。

 

QNAP NASのモデル一覧

製品の比較 | QNAP

 

QTSはその他のほぼ全てのモデルで使うことが出来ます。上の別記事で紹介されているように様々なアプリをNAS上で動かすことが出来ます。

 

QuTS heroはQESとQuTSの長所を取り入れたOSで、主にハイエンドモデルで使うことが出来ます。

さて、レプリケーションの話に戻ります。これまで各OSでサポートされていたレプリケーション機能として、QESはSnapSync、QTSではRTRRとRsyncがありました。

 

RTRRはファイルレベルでの増分転送方式です。過去にレプリケーションが行われたファイルがあっても、そのファイル内の一部のブロックに変更があっただけで、そのファイルの全てが増分転送対象となります。

 

Rsyncはブロックレベルでの増分転送方式です。ファイルに変更が生じても、ファイル内の変更されたブロックだけが増分転送対象となります。

 

このように書くと変更されたブロックのみを増分対象とするRsyncの方が良いと思われるかもしれませんが、RsyncはRTRRよりも増分転送対象ブロックを検出する処理に時間がかかります。

 

多くの場合、ファイルサーバ用途ではRTRRが使われて、例えば下の記事にあるようにバックアップや仮想化環境における大容量のイメージファイル等をレプリケーションする場合はRsyncが使われます。

QTSのRsync機能によるVMのレプリケーション方法

QESのレプリケーション機能であるSnapSyncはブロックレベルでの増分転送方式です。しかも、Rsyncのような検出処理による負荷がほとんどありません。転送処理を行ったらスナップショットを撮り、次回の転送時にスナップショットを撮り、2つのスナップショットを比較して瞬時に増分対象ブロックを検出することが出来ます。

 

しかも、SMB/NFSのようなファイルアクセスプロトコル用の共有フォルダだけでなく、iSCSI LUNもレプリケーションすることが出来ます。つまり、障害時でもレプリケーション先のLUNにマウントして使うことが出来ます(QTSの場合は、LUNはバックアップすることが出来ますが、バックアップ先でクローンを作成してマウントする等、面倒な手順が必要です)。

 

QNAP NAS最上位機種間でSnapSyncレプリケーションを行うという構成でご利用されてきたユーザ様/提案されてきた販社様の選択肢が増えることになります。

例えば、QESモデル ⇒ QuTS heroモデルのレプリケーション構成により、バックアップ機のコストを下げることが出来ます。

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更にこんな構成も可能です(バックアップ機はデスクトップモデルで支社オフィスに置くなど)

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弊社検証環境において実際にSnapSync検証を実施していますので、それについては追って別記事で紹介いたします。

2021/5/13 TS