現在位置: ホーム / ブログ / TS-253Dのベンチマーク - 2.5GbE / 10GbE / SSDで性能はどこまでアップする?

TS-253Dのベンチマーク - 2.5GbE / 10GbE / SSDで性能はどこまでアップする?

2020/8/24 (QNAP) - 2020年6月にリリースした、Intel Celeron クアッドコアプロセッサー、2.5GbEポート搭載の2ベイタワーNAS「TS-253D」のベンチマークテストを行いました。1GbE、2.5GbE、10GbEの比較、HDDとSSDの比較結果をまとめています。

エレコム株式会社WEBサイトに移動します。

QNAP TS-x53D

TS-x53Dシリーズは、数十人規模の中小企業・部門から個人のパワーユーザーまでに幅広く使われているTS-x53シリーズの最新モデルで、CPUのアップグレードに加え、LANポートが1GbE → 2.5GbEにアップグレードされているのが大きな特長です。

下記ブログにて製品の特長と旧モデル、競合モデルとの違いを紹介していますので合わせてご覧下さい。

 

ベンチマークテスト環境

ベンチマークテスト環境は次の通りです。
LANスイッチを介さず、NAS - PC直結で計測しました。

NASPC
QNAP TS-253D
QTS 4.4.3.1354 build 20200702
DELL XPS13 (7390)
Windows 10 Home
1GbE 接続 NAS標準ポート (2.5GbE) Logitec LAN-GTJU3
1GbE LANアダプター
2.5GbE 接続 NAS標準ポート (2.5GbE)

QNAP QNA-UC5G1T
USB 3.2 Gen.1 to 5GbEアダプター

QNA-UC5G1T RJ-45ポート

10GbE 接続

QNAP QXG-10G1T
1ポート 10GbEカード

QXG-10G1T

QNAP QNA-T310G1T
Thunderbolt 3 to 10GbEアダプター

QNA-T310G1T

 
TS-253D環境の詳細

  • TS-253D
  • QTS 4.4.3.1354 build 20200702
  • メモリー 8GB (4GB x 2)に増設
  • 1TB HDD (TOSHIBA Enterprise Capacity MG03ACA100) x 2
    または 480GB SSD (Intel 540s SSDSC2KW480H6X1) x 2
  • RAID 1構成、ストレージプール上にシックボリュームを作成
 

ts-253d_benchmark_1.jpg

検証環境

 

ファイル転送時間の計測

10GiB (10 x 2^30 Byte) ファイルの転送速度を条件を変えて5回ずつ計測し平均値を算出しました。
10GbE接続のみMTU設定をNAS側 9000 Byte、PC側 9014 Byte に設定しています。
計測結果は次の通りです。

 
1TB HDD x 2 (RAID 1)480GB SSD x 2 (RAID 1)
ダウンロード
(Read)
アップロード
(Write)
ダウンロード
(Read)
アップロード
(Write)
10GbE接続
(MTU 9K)
46.3 秒
221.0 MiB/s
75.2 秒
136.2 MiB/s
18.3 秒
558.3 MiB/s
2.5GbE接続の2.08倍
HDD構成の2.53倍
78.0 秒
131.3 MiB/s
2.5GbE接続 47.4 秒
215.9 MiB/s
1GbE接続の1.94倍
76.5 秒
133.9 MiB/s
1GbE接続の1.24倍
38.0 秒
269.2 MiB/s
1GbE接続の2.41倍
HDD構成の1.25倍
79.4 秒
128.9 MiB/s
1GbE接続の1.22倍
1GbE接続 92.2 秒
111.1 MiB/s
94.7 秒
108.1 MiB/s
91.7 秒
111.6 MiB/s
97.2 秒
105.4 MiB/s
 

1GbE接続と2.5GbE接続の比較

HDD搭載では、ネットワークを1GbEから2.5GbEにアップグレードすることでダウンロード速度が約216MiB/sで1GbE接続の1.94倍、アップロード速度が約134MiB/sで1.24倍にアップしていることが分かります。
ダウンロード速度が2.5倍に届かないのは、HDDのピーク性能に達しているためと考えられます (小型NAS向けHDDの転送速度は150~200MB/s程度です)。
アップロード速度がダウンロード速度より遅いのは、書き込み時のRAID処理によるものと考えられます。

ネットワークのボトルネックが解消すると、ディスクアクセスが次のボトルネックになります。NASの性能を発揮するには、ベイ数の多いモデルに変えてリード・ライトの分散処理を図るか、より簡単な方法はSSDを搭載することです。

 

HDD構成とSSD構成の比較

SSD構成では、2.5GbE接続でのダウンロード速度が約270MiB/sでHDD構成の1.25倍となりました。
1GbE接続との比較では、ダウンロード速度が2.41倍、アップロード速度は約129MiB/sで1GbE接続の1.22倍となりました。
SSDの転送速度は500~550MB/s程度あり、2.5GbEの性能を十分に引き出せたと言えます。

QNAP NASは、オールSSD構成はもちろん、HDDとSSDのハイブリッド構成も簡単に構築できます。HDD搭載環境にSSDを追加搭載して、SSDキャッシュやQNAP独自のQtier自動階層化で高速化を実現できます。拡張スロットを持つTS-x53Dシリーズなら、QM2カードでM.2 SSDを搭載することができるほか、QDAドライブアダプターでひとつのドライブベイに2枚のSSDを搭載することもできます。

 
QM2-2S

QM2 (M.2 SSD搭載)

QDA-A2AR 2

QDA ドライブアダプター
(ドライブベイに2.5inch SSDを2枚搭載)

 

10GbE接続

ネットワークを10GbE (または5GbE)に高速化すれば、SSDの性能を十分に引き出すことができます。

SSD構成、10GbE接続でのダウンロード速度は約558MiB/sで、2.5GbE接続の2.08倍になりました。また、HDD構成 + 10GbE接続と比較すると2.53倍になりました。

 

SSD構成なのにアップロードが遅いのはなぜか

SSD構成でのアップロード時間みると、10GbE接続でも131.3MiB/sでアップロード速度は短縮されませんでした。今回は十分な検証ができませんでしたが、大容量ファイル書き込みに対するTLC採用SSDの特性と推測しています。

条件を変えて、10GbE接続環境で1GiBのファイル1個~複数個のアップロード時間を計測して転送速度を算出すると、ファイル数が1-2個のときに500MiB/s前後の速度が出ました。

 
480GB SSD x 2 (RAID 1)、ファイルアップロード、10GbE接続 (MTU 9K)
転送ファイル転送時間 転送速度
1GiB ファイル x 1 2.4 秒 426.7 MiB/s
1GiB ファイル x 2 3.7 秒 553.5 MiB/s
1GiB ファイル x 3 12.9 秒 238.1 MiB/s
1GiB ファイル x 4 21.8 秒 187.9 MiB/s
1GiB ファイル x 10 69.6 秒 147.1 MiB/s

※ 転送時間が短いため測定誤差が大きくなっている可能性があります。

 

参考までにQNAP社によるベンチマークテスト結果を掲載します。この結果では、アップロードでも十分な性能が示されています。

benchmark_ts-253d.png

QNAP社によるベンチマークテスト結果
 

テスト環境 :

  • NAS : TS-253D-4G
    OS : QTS 4.4.2
    ボリュームタイプ : 2 x Samsung 850 Pro 512GB SSDs, RAID 1 (RAID 0 for 10GbE), シックボリューム
  • クライアントPC :
    Windows 10 Pro, Intel Core i7-6700 3.4 GHz, 32GB RAM, 10GB ファイル転送
  • IOmeter :
    RAM x 4, 30-sec ramp up time, 3-min seq. run time, 2 workers, 64-outstanding
 

ベンチマークツールによる計測

メジャーなベンチマークツールであるCrystalDiskMarkによる計測結果を示します。

ファイル転送時間の計測はシーケンシャルアクセスの性能評価となりますが、CrystalDiskMarkではシーケンシャルアクセスとランダムアクセスの性能評価が可能です (詳しい説明はツール提供元のWebサイトでご確認下さい)。

ネットワーク接続は1GbE、2.5GbE、10GbEの3パターン、ドライブ構成はHDDとSSDの2パターンで、合計6パターンで計測しました。
マルチギガ化 (1.GbE → 2.5GbE、10GbE)、SSD化による性能向上を確認できます。

 
10_1500_1.png

HDD構成、1GbE接続

SSD_10_1500_2.png

SSD構成、1GbE接続

 
25_1500_8.png

HDD構成、2.5GbE接続

SSD_25_1500_1.png

SSD構成、2.5GbE接続

 
100_9000_1.png

HDD構成、10GbE接続

SSD_100_9000_1a.png

SSD構成、10GbE接続

 



10GbE接続でのシーケンシャルリードが1000MB/s前後で、SATA規格 (6Gbps、600MB/s)やHDDの転送速度 (150-200MB/s)を大きく超えていました。
この要因として考えられるのはDRAMによるキャッシュで、QNAP本社の製品担当者からもその回答を得られました。

追加検証として、搭載メモリーを8GBから4GBに変更、また測定に使用するファイルのサイズを1GiBから4GiBに変更して再計測したところ、シーケンシャルリード (SEQ1M Q8T1)が951.21 MB/sから523.68 MB/sに低下、SATA規格に近い結果になりました。

100_9000_4g_3.png

テストファイルサイズ : 1GiB

100_9000_4g_2.png

テストファイルサイズ : 4GiB

以下はベンチマーク計測中のQTSのリソースモニターのスクリーンショットです (クリックして拡大)。
メモリ使用率をみると、ベンチマーク計測中にキャッシュ使用率が大きく増えていることを確認できます (黄色のライン)。

リソースモニター

 

(補足) GB と GiB はどう違う?

1キロメートル (1km) = 1,000メートル (1,000m) であることは誰も疑いませんが、コンピューターの世界では、1KB = 1,000 Byte として扱う場合と、1KB = 1,024 Byte (= 2^10 Byte) として扱う場合があります。

人間の感覚 (10進数ベース)

  • 1KB = 1,000 Byte
  • 1MB = 1,000KB = 1,000,000 Byte
  • 1GB = 1,000MB = 1,000,000,000 Byte
  • 1TB = 1,000GB = 1,000,000,000,000 Byte


コンピューターの世界 (2進数ベース)

  • 1KB = 1,024 Byte = 2^10 Byte
  • 1MB = 1,024KB = 2^20 Byte = 1,050,316 Byte
  • 1GB = 1,024MB = 2^30 Byte = 1,075,523,584 Byte
  • 1TB = 1,024GB = 2^40 Byte = 1,101,336,150,016 Byte


これを明確に区別するために、KiB (キビ・バイト)、MiB (メビ・バイト)、GiB (ギビ・バイト)、TiB (テビ・バイト)という単位を使うことがあります。

  • 1KiB = 1,024 Byte = 2^10 Byte
  • 1MiB = 1,024KiB = 2^20 Byte = 1,050,316 Byte
  • 1GiB = 1,024MiB = 2^30 Byte = 1,075,523,584 Byte
  • 1TiB = 1,024GiB = 2^40 Byte = 1,101,336,150,016 Byte
 

今回使用したベンチマークツールでは、テストファイルサイズは 1GiB (または 4GiB)、ベンチマーク結果の MB/s は 1,000,000 Byte/s となってるため、少し注意が必要です。

 

ちなみに、HDDの容量表記は 1TB = 1,000,000,000,000 Byte です。
PCやNASに搭載すると1割程度目減りするのは 1TB = 約 0.908TiB になるためです。

 

2020/8/24 KH